こんにちは!ぽんです!
普段、大手ゲーム会社でディレクターという立ち位置でゲーム制作をしています!
制作規模で言うと数億円~数十億円のタイトルに関わってます。
具体的なタイトル名は言えないですが、
皆さんの中にも遊んでいただいたことのある人がいるんじゃないかなと思います~
今回は10月20日に発売された『ウルトラ怪獣モンスターファーム』のクリア後レビューをさせていただきます!
この記事を書いた人
- Valorantの最高レートはイモータル1 現在はアセンダント
- Valorant初中級者向けの解説記事や、ゲームレビュー記事を投稿中
- 本業はあるゲーム会社のゲームディレクター
プレイ前後の印象
レビューの前に率直に言ってしまうと、
実際にプレイするまでは、
・コラボ作品
・バンダイナムコからのリリース
ということでガッカリなゲームになっているんじゃないだろうかと不安に思っていました。
クリアした今でもイロモノであることは否定しませんが、
結論、ウルトラ怪獣ファンも楽しめつつ、モンスターファームの正統進化として非常に満足感の高いタイトルだったと言わざるをえません!
最近のバンナムさんってもうクソゲーメーカーじゃないよね正直
プレイヤーが手探りで育成スタイルを見つけていく地道なゲーム体験はもちろん、
ウルトラ怪獣ならではの、あっと驚く面白さなど、
ワクワクできる要素が豊富で、久しぶりに面白い育成シミュレーションに出会えたなと嬉しい驚きがありました。
そもそも『ウルトラ怪獣モンスターファーム』って?
ウルトラ怪獣モンスターファームとはどのような作品か、簡単に見ていきましょう。
今作は円谷プロダクションが制作する特撮テレビドラマウルトラマンシリーズに登場する怪獣、通称ウルトラ怪獣と
テクモが生み出した育成シミュレーションゲームモンスターファームとのコラボタイトルです。
ひねりの欠片もない、直球すぎるタイトルですね笑
原作のモンスターファームはモンスターを配合しながらより強いモンスターを作っていくゲームですが、
今作ではそのモンスターがウルトラ怪獣にすり替わったイメージです。
そのためゲームの基本はモンスターファームが踏襲されているので、
ウルトラマンを知らない人でも安心して楽しめるゲームの完成度をしています。
私もウルトラマンはほぼ知らない状態でプレイしましたが、
終わった頃にはガンQに愛着湧きまくりでしたよ笑
「モンスターファーム」って?
モンスターファームは1997年にプレイステーション専用タイトルとしてテクモから発売された育成シミュレーションゲームです。
ゲームでは封印されたモンスターを呼び起こし、成長させ、
次の世代へ統廃合しながら最高位のブリーダー名人を目指していきます。
またモンスターファームシリーズの特徴的なポイントとして、
CDやDVDといったディスク媒体をゲーム機に読み込ませ、モンスターを生成する という要素があります。
最高位のブリーダーを目指し、大会を勝ち抜いていく白熱の要素はもちろん、
様々なディスクをプレイステーションに読み込ませ、
どんなモンスターが生まれてくるんだろうとドキドキ感を募らせるのもシリーズの魅力といえます。
あのCDから最強のモンスターが生まれるらしい!...貸して!みたいなやりとりが当時あったよね。
そんなモンスターファームですが、
シリーズとしては、1999年に発売された第2作『モンスターファーム2』が、今でもファンに愛される根強い人気を誇っています。
その後、2000年代にも多くの関連タイトルがリリースされますが、
大きなヒットには恵まれず、2010年以降はほとんど動きのないIPとなっていました。
シリーズの復活
個人的にも完全に休眠してしまったのかなと切ない気持ちでしたが、
2019年2作目、20年には2作目が、スマートフォンとSwitch向けに移植されたことで、密かに人気を取り戻しつつありました。
そんな移植作の成功も影響してか、
モンスターファームシリーズの25周年記念作品として登場したのが今作の『ウルトラ怪獣モンスターファーム』となります。
ウルトラマンファンにとっては突飛なコラボに思えると思いますが、
モンスターファームファンにとってはどういう形であれ、待ち望んでいたタイトルというわけですね。
発表された時、エイプリルフールのネタかな?って思いました。
ふたを開けてみれば、正統なシリーズ続編だった
いざプレイをしてみると、我々の不安は一蹴されました。
まずお伝えすべきは、ゲームプレイの基本や、プレイ中に考えること、ゲームの方向性など、作品を構成するあらゆる要素が
シリーズ最高作と名高いモンスターファーム2の正統進化として機能しているという点です。
冒頭でも言いましたが、
プレイするまでは、ウルトラ怪獣とモンスターファームという突飛なコラボに対して色物のような作品だろうなと感じていました。
例えば、スーパー特撮対戦2001や虚栄年など、これまでもウルトラマンと他ゲームIPとのコラボタイトルは前例があります。
ですが飛び道具のような、瞬発的な面白さはありつつも、いわゆる名作と呼べる作品は少ない印象がありました。
一方で、ウルトラ怪獣モンスターファームは、
そんな不安をかき消すほど育成シミュレーションとして、
もっと言えばモンスターファームの正統進化として、非常に遊びごたえのある作品に仕上がっています。
怪獣を生み、育て、戦い、そして次世代に託す...
ゲームの基本はモンスターファームシリーズのルールが受け継がれています。
例えば怪獣のトレーニングや次の世代への継承などの育成要素はもちろん、育成した怪獣の強さを競う大会も待っています。また大会にはトーナメントや勝ち抜きなどのルールが設定されており、勝利することでプレイヤーのブリーダーランクが上がっていきます。
ブリーダーランクを上げることで、より強い怪獣を呼び出すことも可能になっていき、シナリオも進行していきます。
ゲームの基本的な事柄はほとんどモンスターファームのままですし、
そもそも強い怪獣が正義の世界なので、初めてプレイするユーザーも迷いなくプレイできると思います。
ゲーム全体としては、モンスターファームシリーズのモンスターをウルトラ怪獣にすげ替えているだけといえばそれまでではあります。
とはいえ後述もしますが、各成長要素や大会には妙にシビアな調整も多く、
シリーズの中でも初期作、特にモンスターファーム2の正統進化として、多くのユーザーが満足できるクオリティに仕上がっています。
評判の良さもあってか、店頭では品切れが起こったみたいですね。
現代に蘇る CD遊び要素
スイッチってディスクを読み込めないけど、どうやって開示を呼び出すのって思ってる方もいるのではないでしょうか?
なかなか面白い進化を遂げていまして、
今作では交通系ICなどに内蔵されているNFCをスイッチで読み込むことで、
新しい怪獣を生み出すことが可能です。
またもう一つの手段として、
スマートフォン等Switch向けに発売された移植版のモンスターファームで取り入れられたCDをセットする代わりに、
CDの名前をゲーム内のデータベースで検索することでモンスターを生成できるシステムが採用されています。
さすがに収録されてないこともありますが、
HYDEやXJAPANといった懐かしの楽曲も採用されているので個人的には不満はありませんでした。
スタッフの遊び心満載。ダウンタウン浜田の曲からは?...
この機能でダウンタウンの浜田さんの曲を読み込むと、
ほとんどの曲でガラモンという浜田さん似のモンスターが生成されます笑
こういう細かい所にスタッフの遊び心が入ってるゲームって良いですよね笑
ゲーム界隈ではこういうスタッフの遊び心も入った隠し要素を「イースターエッグ」って呼ぶよ。
今作ならではの楽しさ
もう少し詳しく、ゲームの核であるウルトラ怪獣の育成について紹介していきます。
データベースやNFCから怪獣を生み出した後は、怪獣が引退を迎えるまでの限られた期間の中で、ライフや賢さ、命中回避丈夫さの各パラメータを上昇させていくトレーニングを行ったり、修行で新しい技を習得していきます。
もちろん今作で育成するのは怪獣ですので、モンスターの育成とは異なる怪獣だからこそのシビアな育成も魅力です。
怪獣らしさを兼ね備えた、巧みな育成バランス
例えば怪獣には逆鱗という。ストレスゲージが用意されており、トレーニング後や好みでないご飯を食べたときなど、様々なシチュエーションでゲージが上昇していきます。
そして逆鱗ゲージがMAXになると、さすがは怪獣です。どのタイミングで高瀬様など育成プランを練ってプレイしていたとしても、
逆鱗ゲージがMAXになった怪獣は手をつけられず、ファームをぶっ壊したり、無意味に穴を掘ったり、その辺の野良怪獣と勝手に戦ったり、挙句の果てに家出したりと、暴れ倒します。
ゲームではこの逆鱗ゲージによって育成がよりシビアなものとなっており、
怪獣の機嫌をとりながら育てていくゲームプレイは、気づけば癖になっていますし、怪獣にもどんどん愛着が湧いていきます。
個人的に暴れた怪獣を収める際にウルトラマンがやってきて、
いとしの我が子を一撃で沈め、ちゃんと世話しなさいと説教していたのには笑ってしまいました。
他にも今作では「継承クッキー屋」というと直球の店が用意されており、
クッキーを怪獣に食べさせることでバトルや育成に役立つ能力を怪獣に付与することも可能となっています。
また怪獣同士を交配させることで、初期値の高い怪獣を作り出すことも可能だったりと、
育成の幅の広さには非常に驚かされますね。
軽食クッキーや合成などのシステムを活用することで、ゲームのランダム性を抑えつつ、
よりやりこみによって成果が出るように調整されているのは、プレイする動機を高める意味でもうまく機能していると思います。
怪獣のバリエーションも大きな不満無し
ちなみに気になる怪獣の種類ですが、ゲームではバルタン星人とゴモラを掛け合わせた怪獣なども登場するため、原種の怪獣自体の数はそこまで多くありません。
ですがバルタン星人やカネゴンといった初期怪獣はもちろん、ゴールザやガンQなど、TDG三部作の怪獣も登場するなど、
怪獣ファンも嬉しい網羅性だと思います。
また先ほどから紹介している育成の後に待っている大会についても簡単に見ておきましょう。
大会はトーナメントや勝ち抜きなどのルールが設定されており、勝利を収めることでゲームが進行していきます。
また大会時のバトルには、マニュアル操作とオート操作が用意されており、マニュアル操作では自身で怪獣を操作し、戦っていきます。
LRの移動と、画面下部に表示されたコマンドで技を繰り出していきますが、
操作自体はシンプルなので、ゲーム性は薄いです。
いざ、戦いへ
まさにこれまでの育成が物を言う怪獣トップリーダーにとって大事な局面です。
単純に火力が強かったり、回避能力に長けていたりと、育成で強化したパラメータによって、怪獣の強さは変化していきます。
ランクの上昇に伴い対戦する怪獣もどんどん強くなっていくので、
四苦八苦しながら怪獣の育成方針を考え、怪獣と向き合うゲームプレイは
育成シミュレーションファンにとっては至高の時間だと思います。
基本的にゲームはここまで紹介してきた誕生、育成、大会の繰り返しですので、
ユーザーによっては同じことの繰り返しに思えるかもしれません。
実際、ストーリーを楽しみたいとか、育成以外の部分も期待したいといったユーザーには
おすすめしづらいほどストイックなゲームプレイが待っています。
とはいえ地道な作業を繰り返し、強い怪獣で大会を勝ち上がる瞬間は得がたい達成感がありますので、
育成シミュレーションに挑戦したい方、モンスターファームで遊びたいという方には非常におすすめです。
switchの手軽さこその名作
続いては個人的に非常に好印象なスイッチとの相性についてです。
本作はNintendoSwitch独占タイトルで丁寧に最適化されていることもあり、TVモードのグラフィックやフレームレート、ロード時間などゲームプレイは非常に安定しています。
特にゲームプレイは基本的に地道な作業が多いので、度々携帯モードでプレイしていました。
携帯モードでは若干解像度は低くなりますが、その他の部分は安定しており、プレイの所はありません。
この携帯モードの手軽さが素晴らしく、改めてスイッチと育成やシミュレーション系タイトルとの相性の良さを実感しました。
手元での育成とテレビでのバトルなど、瞬時にプレースタイルを切り替えられる利便性の高さなどをわかっていながらも、
スイッチの良さを再認識しました。特に育成シミュレーションがあまり得意じゃないという方も、
手元で遊べるのは割と世界が変わるので、一度挑戦してみるのもいいかもしれません。
気になったポイント
最後に知っておきたい気になったポイントについても紹介しておきましょう。
育成要素のパターン化
まずはある程度定型化していく育成要素についてです。
ここまで見てきたように今作では怪獣の育成がゲームプレイのほとんどを占めています。
それ自体は育成ゲームファンであれば最高の作業要素です。
一方でゲームプレイとしてはある程度最適解とでも言うべき適切な成長パターン、強化すべきパラメータも存在しています。
そのためそのパラメータに気づいてしまうと、ストーリーのクリアまでは強化のパターンが定型化していってしまいます。
もちろんクリア後に登場する強敵などは、上述の安定した鉄板パターンでは倒しきれない難易度になっていますし、まだまだ怪獣育成は終わりません。
ある意味で大会の制覇までをチュートリアルと思えば、単純にネガティブな要素でもないので、コアユーザーは気にせず、最強の怪獣を育てましょう。
難易度バランスはプレーヤーによって評価が分かれる
また実はシビアな難易度設定や豊富なボリュームについて触れておきましょう。
まず難易度ですが、個人的にモンスターファーム関連作品をプレイするのがかなり久しぶりでしたので、育成のコツをつかむのは相当苦労しました。
それこそ最初に育てた怪獣は何も考えずに育成していたので、途中で完膚なきまでに、八方ふさがりになりました。
ですが何度も怪獣と向き合っていく中でパターンを掴みつつ、大会を勝ち進んでいくプレーは心地よかったです。
そんなわけで、難易度としてはウルトラ怪獣のコラボタイトルとして考えると、
そもそものヒントなども多くないので難易度は高めかと思います。
ボリュームは十分。むしろ遊びすぎに注意
またボリュームですが、怪獣の育成に関しては、目指すべき目標を自分で定めるなら、ほとんど際限なくプレイも可能です。
怪獣に気を使いながらじっくりと育成していくゲームプレイはまさに沼といいますか、
いくらでもプレイできちゃうだろうなと少し不安になるレベルでした。
特にストーリークリア後の挑戦要素を倒すのであれば、60時間程度は優に遊べます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
久しぶりのモンスターファームということもありますが、
個人的には2022年のタイトルの中でもかなり上位に食い込むほど高い完成度を誇った名作だったと思います。
久しぶりに育成シミュレーションを遊びたいと思ってる方や、あの頃のモンスターファームをもう一度プレイしたいと切望しているシリーズファンの方は、ぜひとも一度手に取ってみることをおすすめします。
とりあえずもっと強い怪獣を目指してファームに帰りたいと思います。
願わくば今作の高い評価を受けて、モンスターファームの新世代タイトルが生み出されて欲しいと思うばかりです。
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!